■ 2019年 5月18日(土)

     13:30〜16:30 

■ 首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス DE教室

 

若者が社会の作り手と感じられる社会へ!

ーー スウェーデン社会と若者政策に学ぶ ーー

報告:両角達平さん

 

全国進路指導研究会 春のセミナー2019 の まとめ

 

(レポート・文責)世話人:遠藤  (記録提供)   報告者:高須

日にち:2019年5月18日(土)

場所:首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス

テーマ:若者が作り手と感じられる社会へ

内容:

講演:若者が社会の作り手と感じられる社会へ 

―スウェーデン社会と若者政策に学ぶ―               

両角 達平さん文教大学生活科学研究所(研究員)他

 

報告:主権者教育の普及に向て 

―「沖縄での出前授業」など事業を通して

古野 香織さん(大学院生・POTETOMediaメンバー)

 

報告:高校生が企画する公開政策討論会 

―ぼくらのミライ東京のミライ― 

佐々木 准さん(大東学園高校)高須 俊輔さん(卒業生・大学1年)

 

シンポジウム:若者が社会の作り手と感じられる社会へ

 

1.開会                                

 各地でたくさんの研究会やイベントが開催される中に、様々な立場の方がいらしてくださった。いつものセミナーに増して若い世代の参加も目立ち、ワクワクしながらの開会となった。

主催者あいさつ(世話人:中村)                   

 ベネッセが10数年前から行っている「経済格差が教育格差につながる現状をどう考えるか」という保護者へのアンケートに対し、昨年初めて「当然だ」「やむを得ない」という回答が6割を超えたという結果が出ていた。今までは5割さえ超えていなかったのだが、この10数年の間に、大人たちが「やむを得ない」という現状を認めたという調査ではなかったかと思う。今日のテーマは「若者が」となっているが、わたしたち大人も含めて考えなければならない問題だと思っている。

 

両角さんの紹介(世話人:綿貫)                   

 両角さんは、Tatumaru Timesというブログの発信をされたりしていて、「スウェーデンの若者事情」を語らせれば、両角さんの右に出る人はいないと言えるだろう。初めてお会いしたのは、東洋大学で、林 大介さんが主催した「スウェーデンの報告会」。お話を伺って、スウェーデンと現状があまりにも違いすぎるけれど、全進研でお呼びして、きちんと受け止めなければいけないと考えた。その後、日弁連の人権擁護大会が青森で開かれ、そこでもスウェーデンのことを両角さんが発信された。わたしが仕事をしているNPOの団体の若者たちも青森の大会に参加していて一緒に話を聴いたが、やはり全進研でこのテーマできちんと学習したいと考えて、今回お呼びすることになった。今日は、盛りだくさんの日程になるが、皆さんで学びあう時間にしていきたい。

 

2.両角 達平さんの講演

若者が社会の作り手と感じられる社会へ ―スウェーデン社会と若者政策に学ぶ―                          

「初めての試みですが、ライブ配信をしたい」との提案があり、ライブ配信しながらの講演となった。いろいろなところでお話をされている両角さんだが、「スウェーデンと日本は、文化も違うし」などと言われて終わりになってしまうこともしばしばだと言う。冒頭で、「比較考察することの意味」を示され、比較することからわかることを、実に明快に話されているのがとても印象的だった。ライブは、両角さんによりYouTubeで公開されているので、是非ご覧いただきたい。

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZSS_xGNnlZA&feature=youtu.be&fbclid=IwAR2EW6Zm0ue1xnhhGmcT_z0s3cfHNK1q_sqMA7v_XqRlQ4sIAz_ujL5idGM

 

3.古野 香織さんの報告

主権者教育の普及に向け

―「沖縄での出前授業」など事業を通してー

 

 はつらつと軽快にお話をされている様子が、実に頼もしく、うれしくなりながらお話を聴かせていただいた。

 報告の概要                              

 現在、大学院に通っている。学校教育にフォーカスした日本の事例。もともとは法学部政治学科で学んだ。専門分野は主権者教育とか社会科教育。今、いろいろな活動をしているが、課外活動として、日本の学校で「主権者教育をやってほしい」という依頼があった場合に出前授業を行うなど、様々であるが「主権者教育」にかかわっているということになる。             

 このような活動を行うようになった経緯について。高校生の時は、政治などには全く関心がなかったが、高校2年生の終わりの頃、民主党政権が3年ぐらいで崩壊してしまったということをテレビで観ていて、こんな簡単に覆ってしまうことに驚き、政治ってなんだろうかと考えた。漠然とした不安感を覚え、知らなかったから、勉強しようと思って、法学部のある大学を選んだ。同級生が、センター試験に出ないような「政治経済」とか聞かないで内職をしているような状況に違和感をもっていた。                  

 大学2年の時、20歳のときに選挙権年齢が引き下げられた。わたしは、全会一致で可決した場面を実際に観に行った。可決したときに、マスコミのフラッシュがものすごい勢いでたかれ、その日の夕刊に喜ぶ若者として写真掲載された。この時、若い人に「政治の門が開かれた」と思った。当時、「高校生への啓発」が言われていたが、わたしは周りの友人とかを見て、「大学生への啓発」をした方がいいと考えた。政治学科なのに、住民票が東京にあるのにも関わらず、どこへ投票にいくのかわかっていなかったり、政策もよくわからないといったことがあったりして、大学の中に投票所を立てて啓発をしようと試みたが、八王子市が予算を下ろしてくれなくて実現しなかった。全国では実現してきているが、東京ではまだ例がない。意識はあるけど、住民票を移していないなど、住民票の問題が大きかった。                 

 その頃、付属高校に「高校生に主権者教育をさせてくれませんか」と働きかけた。大学生の啓発は難しいが、高校生への啓発は、教室に出かけていけばいいので、やりやすいと考えた。高校へ行って出前授業などの活動を始めた。今は後輩が続けてくれている。最初は反対もあったが、続いている。      

 大学4年になり、アメリカの大統領選挙に衝撃を受けた。「アメリカの選挙、めちゃくちゃかっこよくない?」みたいなのがあった。友人が現地に行って、盛り上がっている様子を動画に撮って、YouTubeで発信するなどがあり、POTETOMediaというチームを作って、政治が固いとかというのを乗り越えるコンテンツを出したりしたいよねと立ち上げた。今は株式会社になっている。元々は「メディアにいきたい」と思っていたが、教育に可能性を感じるようになり、教員になりたいと思って、教員免許を取り始めた。        

 今は、免許を取りながら、大学院で修士論文を書いている。社会科教育は、カリキュラム上も、小学校から「主権者教育」をメインに掲げている科目なので、暗記とかがあり、小学生でも人気がない科目なのだが、生まれ変わらせたいなと思っている。修論のテーマは「外の機関がかかわる主権者教育」で、スウェーデンにも行ったりしたが、いいきっかけになった。本当に民主主義が根付いている国というのを見たことがなかったので、衝撃を受けて、今に至る。活動として、模擬選挙をやったりしているが、一般的には実際の政策や政党を使うということはなかった。今は増えているかもしれないが、2016年7月の参院選の最中に付属高校で行ったときは、「政治的ではない内容で」と言われた。自分が受けたかった授業をしてみたかったので、模擬選挙を取っ払って、オリジナルプログラムを作っている。テーマは多岐にわたる。     

 メインで話したいこと。日本でも、議員さんを招いての授業というのも広がってきている。沖縄でもそういう授業を行った。成果は、議員さんに接する機会はまずないことで、自分の意見を伝えて、それが意味のあることと感想を書いてくれた生徒が多かったことである。政治家のイメージは非常に悪かったりするが、生徒が「ちゃんと話を聴いてくれて、すごいなと思った」とか感想を述べていた。後半、政策ディスカッションを行った。公共の交通機関がテーマだったが、現状がどうなっているかとか、実際進んではいるということがわかって有意義だったという感想もあった。成果もあったが、課題が3つあると思っている。①対等な対話を大切にしたいと考えていたが、議員さんのひとり講演みたいになってしまった。音楽など行っている演奏家を招いてといった「アウトリーチ実践」のようなことが行えるといいかと考えている。②政策を扱うことの難しさがある。招いた議員さんの専門がバラバラだったり、資料の準備に膨大な時間を要したりする。学校の先生は孤軍奮闘しているケースが多いので、良質な資料が得られにくかったりする。事前学習がないと厳しい。議論の質が変わってくる。③沖縄のケースでは大事な視点。国民投票が近かったので、生徒のリクエストがあったが、意見の対立のあるテーマは扱いにくいという実態があった。主権者教育の矛盾だと思った。ここは乗り越えていかなくてはならない課題だと考えている。生徒は知りたいと思っている。また、今回、自分自身の宿題にしたいことも見つかった。「基地問題」と言っても、那覇に住んでいる生徒にとっては身近ではなく、「基地問題について知りたかった」ということが感想の最後に出てきたりして、課題だと思っている。      

 最後にスウェーデンに行ってみて、議員さんと話す機会が身近にあるのか違う。授業を観たが、先生方がよく勉強されていて、わたしたちが見本から来たということで、天皇制とか投票率が53%とか勉強されていた。議論の場も用意されている。図書館との連携も大事だと感じた。

 ※ パワポの資料を添付。無断転載は固くお断りします。

 

4.佐々木 准さんと高須 俊輔さん報告

高校生が企画する公開政策討論会―ぼくらのミライ東京のミライ― 

顧問である佐々木さん、現在大学1年生になっている前部長の高須さんのリレーでお話していただいた。活動を下支えする大人がいて、その信頼の元で、伸び伸びと自分の考えを発信できる若者が育っているというような感想をもった。今回の報告者で最年少(18歳)の高須さんのお話が「等身大」で、まっすぐに響いてきて、とても清々しい心持になった。                   

報告の概要                             

(前半)佐々木さん 社会問題研究部の活動ができるための土壌について                      

 「公開政策討論会」は、社会問題研究部(以下、社問研)という部活の中で行ったこと。まず始めに、その活動を行うための土壌となっていることを、勤務校の紹介をしながら説明したい。「こういった活動の生まれる土壌・その1」は、三者協議会を設置して、「三者でつくる学校づくり」を進めているということ。三者協議会とは、子どもの権利条約12条に基づいて、子どもにかかわる閣内事項は、例えば規定(つまり校則)、施設設備、授業づくりに関して、三者それぞれが要求を出し合い、協議し、落としどころを探るところ。そういうことを1年間通じてずっとやっている。学校にいる大人(教員)が決めてしまえば済むことを、敢えて教材として生徒に預けて、考えさせて、学校相手に交渉させるということをわざとやっている。目指しているところは、ゆくゆくは学校規定をゼロにしたい。規定にしばられる人間づくりではなくて、自分自身で考え、他者を尊重して、学校生活を送るということを目指している。本気である。何十年もかかるだろうと思う。今年の生徒会は、ついに、授業問題にきり込んできた。「先生たち、授業、このままじゃマズい」「施設・設備の要求など出している場合ではない」「今年は授業にきり込みます。一緒に頑張りましょう」と言ってくれた。うれしかった。この声に応えて、先生たちもがんばろうとしている。生徒会は「JKD」と言っている。授業改革大作戦。すごく頼もしい。「こういった活動の生まれる土壌・その2」は、教育目標「人間の尊厳を大切にする」。それから、憲法9条の額が1階のロビーにある、君が代・日の丸は平和主義を実践したいという思いからしない。                そういう土壌のある学校の中で、社問研の活動が始まったというのが経緯。部の目標は、①現代社会において、人間の尊厳がどのように守られているのか ②尊厳や人権を守る立場から、主に平和に関する社会問題を切り口に、フィールドへの取材や活動に合流しながら研究をまとめる 2015年9月11日に結成。以来、様々な活動を行ってきた。                「公開政策討論会」は、2017年に都議会議員選挙と18歳選挙権ということがあり、社問研発信で、選挙権を得るであろう本校の生徒に対して、政治にふれる機会を紹介したいということから始まった取り組みである。資料に「18歳選挙」というのがあるが、都議会議員選挙に向けて、全会派に質問状とビデオ要請、あるいは来ることができるかどうかということを考え始めた。そして具体化していくが、顧問が部員に質問を投げかけることを通じて、実現可能な形を探り、質問の内容などを詰めていった。               成果点として、各分野における「弱者」=生活者、あるいは都民・有権者に対して、各会派がどんなまなざしをもって政治をやっているのかを引き出すように試行錯誤できたことはよかったと思っている。各会派、参加者の社会実感というのか、そういうことへのアプローチが見事に違っていて、興味深かった。共産党と自民党がいたが、天と地ほど違う。最後になるが、天と地ほどの違う意見を共有できることこそが民主主義の再体験ではなかったかと思っている。意見の違いを尊重しながら、相手の立場も認めながら、じっくり時間をかけて、その落としどころをみんなで考えて、よりよい社会をつくっていくという政治の基本を2時間の中で体験したということが、大きな教訓かなと思っている。これは、わたしたちの学校が全体で進めている三者の共同、三者協議会と全く同じ理念だともっている。その中心にかかわっていたのが、前部長の高須くんなので、ここで高須くんにバトンタッチする。

 

(後半)高須さん  社会の作り手ということを意識して                          

 簡単に自己紹介。大学は理工学部電気電子工学系。高校のときは、社問研、演劇部、パソコン検定部に所属していた。2学年後期からは生徒会役員として活動。今、興味があることは、より安全な発電について、ブラック企業や働き方についてなど、政策というよりも生き方としてどうなのか、実感がもてる範囲でどうなのかということについて興味がある。                    

  今回のテーマを見て、わたしが感じたこと。「身近なことを通じて、社会とつながっていく」、身近なことに興味をもつことが社会とつながっていくことと考えて、話をさせていただく。今回のテーマ「社会の“担い手”になる」ということはどういくことなのか。社会参加をするために、社会とどうつながるのか。社会とつながらないと社会の“担い手”にはなれないだろうと思い、社会への興味は何からきているのかと考えた。そうすると、政治などを通して社会を変えたいから、社会に対して発信しようとするのだと思った。「何かを発信する」というのは、中高生からすると、まだ身近には程遠いと思う。社会の問題から程遠い中高生に対して、身近なものにしようとすると何があるかと考えた。それは「生活への興味」ではないか。生活の中でこれは欠かせないなと思うこと、欠かせないなと思うからこそ、それが失われようとしたときに反対運動が起きるとか、困っていることがあるからこそ、発信しようと思うのだなと思った。しかし、これもまだほど遠い。身近ではあるかもしれないけど、きっかけとしては弱い。機会が少ない。さらに広げていくと趣味・娯楽への興味、興味というのは、つきつめていくと、すべて学びにつながっている。    

 そういった学び、視野の広がりといったことは、最終的に社会とつながることの有用性、社会とつながることによって何か発信できると実感するということになるのはないかと考えて、そういう方向で話していきたい。身近なことが何か変えられるのではないかということで話していきたい。        

 何をきっかけにするか。「発信したい」「変えたい」と思うことが大事だと思う。そして、発信するには、「変えたい」と思うと同時に、十分な知識が必要。変えたいというきっかけは、人それぞれが興味のあることをつきつめていくと手にいれられるのではないか。例えば、政治のことについて、選挙法について知った、でもどう投票したらわからないという場合、だったら投票について調べようということになる。自分が主張したいことを明確にしてから、必要なことを調べるというのが、わたしにとって身近な社会とのつながり方だと思う。                                

 そのきっかけについて少し話していきたい。きっかけが大事だと言ったが、わたしにとって興味があることは、エネルギー分野だとか働き方だとかいう、最初の自己紹介のところで「興味がある」と言っていたところであるが、例えば、給料から天引きされている、「なんだこれは!ブラッ企業か!?」とか、身近に言われていることだが、自分たちの権利が失われている、身近な例ではあるが、それをどういうふうに解決したらいいのかと考えたときに、社会や政治に訴えかけるとか発信するしか、解決法はないのだというところがあると思いう。他にも、食べ物の安全性や生産者の事情に関しては、添加物の発がん性が話題に上がったりすることがあると思うが、出てきた情報が正しいのかとかを考えなくてはいけない。                     

  環境整備については、助成金のこと、育休についてもどんな職場があるかとかあるが、そもそも環境整備というのは、どこの団体がどんな目的でそういう支援をやろうと思っているのだろうという仕組みについて、自分から調べないと、それをさらに広げるということはできないと思う。         

 税金の使い道や経済については、税率が上がって何に使うかとか、10年後それは自分に影響があるのかとか、自分の立場、自分の周りに影響があるのかというように、他人事ではなく置き換えていく必要があるのではないかと思う。

 そして軍事産業、基地問題。わたしのいた高校でも総合学習・平和のテーマとして学ぶことはあるが、実感として得やすいところでは、先取防衛とか無抵抗の話。憲法9条をそのままつき通していくのか、変えるのかといったことは実感をもちやすいと思う。戦争が起こったときに、抵抗したいのか、はたまた無抵抗で死にたいのか、それを政治的主張するかどうかはともかくとして、自分はどっちのほうが幸せなのだろう、自分にとってよい可能性や未来というのはどんなものなのだろうと考えていくことが、大事なのではないかと思う。     

 まずは始めることが大事。先月、統一地方選挙が行われたが、実際に選挙に行ったのは初めてだったが、とても不安だった。これがよい投票だったのか、よい決断だったのがということを考え、悩んだが、「あれでよかったのではないか」という結論になった。なぜなら、政策を選ぶ、意思を表示するという場であると同時に、参加表明の場であるとも思った。先ほどの、スウェーデンのお話で、日本との違いの中で、投票率の違いとかも挙げられるが、投票していないと「若者が政治に興味がないのではないか」というように、話のすり替えかもしれないが、そのようにとる人がいるということを考えると、参加しておいて損はないとわたしは考えた。政治とか社会は正解がない一人ひとりがそれぞれに思いとか考えがあり、模索し続けることが必要になる。考え続け、模索し続けるためには、いち早く始めるということが必要なのではないかと思う。教育者方々の目線ではなく、わたしたち目線、生徒の意識として「まず始める」ということが必要なのではないかと思った。               

 きっかけは身近。今挙げた生活の例とは別で、興味などが社会にどうつながるのかについて話したい。まず初めに、通学時の不満だったり、勉強の効率化だったりが、生徒・学生にとって、興味のある、解決したいことのひとつだと思う。通学時の不満、わたしが通っていた高校の通学路は、車が非常に通る通学路だった。横に広がると邪魔になるだとか、ポイ捨てがあるだとか、あとは満員電車での通学で疲れるとか、わたしが3年間の中で痛感したこと。勉強の効率化につながるが、部活動が終わって満員電車に乗るとクタクタになってしまって、家に帰ったら勉強する気力や集中力がもたない。そこで、学校で勉強し、家では休むと決めた。自分に合ったやり方を見つけることが大事だとそこで学べたと思う。グルメ漫画やゲームといった趣味や娯楽の話につながるが、興味という切り口から見てみると、社会につながるきっかけのひとつになりうると考える。例えば、「美味しんぼ」これは食についての評論が社会の評論につながる描写があるので、食への興味が社会への興味につながるきっかけになったとか、ゲームでうまくなるとコツとして、他の人のプレイをみるとか、他の人がどういう工夫をしているのかを知るといった「他の人への興味」が自分の利益につながるということを知るきっかけになった。これらのことは、趣味や娯楽でなくて、勉強の中でもできることなのかもしれないが、身近なことであるということが、生活の中で学びとる上で必要なのではないかと思う。主体的に調べられる、自分から「調べたいな」と思える、興味のもてることをつき詰めていくと、他の人の視点、視野の広がり、問題意識の向上につながっていくのではないかと思った。                     

  学校内での体験について。部活動は3つ。演劇部では「観ている人からどうなのか」「客観視」と親からは言われるが、客観というよりは「お客さん目線」。観ている人が興味をもてるかどうかが重要だと実感する日々があった。また、社問研では、分析というか、多方面からいろいろな見方をしないと、偏ったり、ナナメからの見方になってしまったり、それでは真っすぐに伝わらない。伝えたいことが伝わらない。物事の見方が適切でないと伝わらないということを学んだ。生徒会役員では「企画する」ということがたくさんあったので、いかに全体をまき込み、細かな声を拾っていくのかという企画者・運営者としての視点を学べたかなと思っている。これら全て、日常生活に含まれるかもしれないが、全体を総合すると、中学生の時よりも、年代や立場の違う人と会う機会が増えたので、コミュニケーションや価値観の広がりになったのではないかと思っている。また、高校には三者協議会があって、わたしは、この三者協議会に惹かれて高校を選んだというのが大きかったので、三者協議会について掘り下げて話したい。三者協議会とは、身だしなみ規定や校則改定、授業づくり、施設設備について、生徒・教職員・保護者の三者が集まって、話し合って、考える会議。これはお互いの状況や気持ちを理解することによって成し遂げられ、学校づくりについてお互いのことを思いやるということにおいて成立するということを意識させられた。昨年度は、校則について、生徒からの要求について、授業づくりの3つの柱で話し合いが行われた。実際に参加してみると不安がある。なぜ不安があるか。三者協議会に惹かれて入ったのはいいが、1、2年は部活があって、三者協議会の当日に参加できないでいた。従って、3年次が初めての参加で、企画者・運営側になり不安があったが、普段三者で話すのと変わらない。普段、立場や年齢の違う人と話すときに意識することと同じ。ただ、一つひとつの提案に本気の姿勢が見えるというのがあって、非常に面白い経験だと思った。まとめとして。「わたしの学び」という視点で、三者協議会が学内での一番大きなイベントではあったが、日常生活の中で、興味や生活の中、学びは日常の中にあったということができる。今回、お話をさせていただく機会を得て、先生方にたくさん支えられてきたということを認識し、わたしも、一人の当事者として頑張っていこうと思っている。

 

4.シンポジウム

若者が社会の作り手と感じられる社会へ

フロアからの質問や意見を基に討論を行った。参加者の方からの感想などを最後に記載し、詳細は割愛する。

 

5.参加者の感想

(1) *両角さん…形だけの参加ではない「参画」というメッセージの意義がよくわかりました。 *古野さん…いまの日本にこのような能動系の若者がいること自体が,とても感銘深いことです。 *佐々木さん…「政治は選び抜くこと」「民主主義の()体験」、実践を踏まえたすばらしいメッセージです。 *高須さん…三者協議会の経験、「学びは日常の中にある」、参加表明としての投票、すばらしい学びです。  

学ぶところ感じるところ多く充実した時間でした。ありがとうございました。

(2) スウェーデンなどの教育無償化や若者政策の背後には、社会を維持するには再配分機能が重要であることを共通意識としてあると思う。また、個人の尊厳を意識している。このことを可能にしている社会のベースは何だろうか。社会の中での人と人のつながり、他者認識がどのようにつくられるのか。日本社会とヨーロッパ特にスウェーデン社会とのちがいをさらに考えたいですね。

(3) 古野さんや高須さんという若い世代の方々のお言葉だからこそ、響くものがたくさんあると思いました。そういう同世代の意見や活動を聞く制度がもっと確立されるべきだと感じます。私自身そういう新しいやり方に触れずに、中高をきたので悔しくて大学の今、必死に取り返している状況です。来て良かったし、とてもおもしろかったです。でもなぜ若者についての話なのに、若者はこの場所に少ないんですかね…。同じ若者として何をどうしたら、もっとつなげることができるだろうと考えるキッカケになりました。ありがとうございました。

●(4)大学の現場にいて、学生たちがいかに自分の感じ考えたことを言いにくくさせられてきたのかを感じる日々をすごしています。大学や高校で動いてきたことをいきいきと話される古野さん、高須さんのご報告を聞いて、また、高須さんたち生徒さんと議論してきた佐々木さんのご報告を聞いて、自分に何ができるだろうと改めて考えています。スウェーデンでは幼少期から家庭内で意思決定をしてきているという両角さんのお話がとくに心に残りました。ありがとうございました。

(5) どの方の発表もとても魅力的でステキな内容ばかりでした。”学びは日常の中にある“ということばにははっとしました。学校の中の学びや生活を見つめて変革していくことは、実はとても大切で難しいこと―外のことの方が考えやすいときもあります。どんな授業がよいのか、もっとみなさんに聞きたいことでした。

(6) スウェーデンの若者政策、民主主義には、やはり普遍的社会保障が背景にあるのだということが、報告をお聞きして分かりました。若者自身に問題を投げつけるのでなくて、私たち自身の世代がそれぞれそうした普遍的社会保障を実現させていくなかで、少しずつ変えていく、その努力をしていきたいなと思いました。

(7) とても示唆多く有意義でした。有りがとうございました。地域活動をしているので、どう生かしていけるのかまだ分かりませんが、心して考えていきたいとあらためて思いました。

(8) 子どもと貧困メーリングリストからの参加です。今回は貴重な御意見をありがとうございました。Facebookの仲間たちもスウェーデンに関するイベントに参加しています。日本は本来人権が尊重されない国です(50年生きてきて感じています)。 私は弟妹が下に4人いて、大学をあきらめた、あきらめざるをえない人生でしたが、今現在の子どもの自殺を考えていると、国のしくみを変えなければいけないのかなと考えています。ありがとうございました。

(9)・辺野古を見ても、現政権は、国民から政治を遠ざけるための政権ですネ  

・高知では、50年代に、高校生生徒会連会があり、学テ反対、高校全入、勤評反対の運動をやっていました。日本の政治は主権者を育てないものですネ

・人格の形成、主権者を育てるための教育、学校が部外者にゆだねて「主権者教育」をやるなど、コッケイ極まるものです。「全生研」や「地域に開かれた学校づくり」など、教育実践、公教育の再建をと思います。

・高知県教委は、この2年間、主権者教育という名で、年間2(2)で、県議会議員の各会派の出席で、各校の(生徒?)テーマに基づいたとりくみをしています。

・ビキニ救済の運動は「高校生平和ゼミナール」のとりくみからでした。

・シチズンシップ教育の実態(?)を知りたいと思っています。

良い企画をありがとうございました。

(10) 理念と実践の(?)が、改めて、久しぶりに学習できました。あきらめてはいけませんね。

(11) この活動や学習というのはすごくおもしろいことだなと思います。学習会の話をもう少し早く、もっと早く知りたかったと思い、できるなら「この動きをどう広めようと思っているのか」。教育で解決できるかどうかの判断を含めて、先生だけに押しつける教育にゆがみが出るものなのだと思った。自分にできること、他人に求める事を考える「投票は最低ライン」というのが印象に残った。

(12) スウェーデンでの社会に対する意識に興味がわきました。「30歳で定職につく人が多い」という状況は、なにか安心感のようなものを感じます。高校教員をしていて、進路という言葉に、なにか焦りを感じることがよくあります。でも、人生をどう送るかというのはそれぞれであり、考えるためには、エネルギーもお金も、時間もたくさん必要です(それぞれに)。そのことが前提として社会に根付いているスウェーデンに魅力を感じましたし、こんな社会にしたいなあと再確認できました。3人の方々のご報告内容が充実しており、たっぷり学べる時間となりました。ありがとうございました。

(13) スウェーデンの若者の社会とのかかわり方をお聞きし、日本の若者との意識の違いを痛感しました。社会参加が有意義だと感じられることだけでなく、自分が意思決定して何かを改善出来るという感覚を日本の若者は持ってがいないことが問題だったということを感じました。日本の教育や価値観が社会参画への意識や若者の就労問題に繋がっていくとの感覚がありました。刺激のある講演をありがとうございました。大変勉強になりました。

(14) とても勉強になりました。両角さんのご報告では、シンポジウムも含めて、社会保障のあり方(制度面)を基盤にした学校、ユースセンターが多様な人々の生活を支え、若者は学ぶことができるのだと思いました。質問者の方も言うように、皆が正社員、学費をまかなえる家族がある、というあり方は苦しいなと思いました。大東学園の実践、素晴らしいと思います。

(15)・学校のなかで、話し合いの機会がとても少なく、さらにどうでもよくない(見にせまる)話しあいが少ないと感じます。意見をつくる、発表するということになっていかないです。教員をしていた自分の反省です。 ・学校はやってきたことを変えて行くことにとても慎重です。 ・世田谷区立桜丘中学校のような取り組みもあるようですが。

以上