全国進路指導研究会 2017夏のセミナーまとめ    

 

記録:武井 文責:遠藤

 

2017年全進研夏のセミナーは、~「貧困と暴力」を越えて、子どもたちを大切にする学校・社会へ~をテーマとして、85()東洋大学白山キャンパス2号館16階スカイホールで開かれた。

 

【1】開会

1.世話人代表あいさつ(中村)

2.会場校あいさつ(東洋大:小澤先生)

3.講師(上間陽子氏)の紹介(小澤先生)

小澤先生と上間先生とは20年来のつきあい 

 

【2】講演:貧困の現場から希望を見出す

   『裸足で逃げる』から学校へ 上間陽子氏(琉球大学教授)

1.自己紹介を兼ねて今までの仕事をざっくりと紹介。

自認は「調査屋」という言葉

※上間さんの「現場に軸足を置いた者の自負」を感じた。

東京では主に女性の調査

 ①高校生のエスノグラフィー  ②高校生→20代の継続調査 ③小学生の友人関係のエスノグラフィー

③沖縄では

④小中学生の学校体験調査 ⑤移行調査(YCSJ)など  ⑥小学生のエスノグラフィー⑦若年出産女性調査(2017年から)⑧風俗で働く男性調査(2017年から)

○その中でいくつもの気になるできごとがあった。

 

2.沖縄に戻ってから調査のしごとを始めるまで

①主にアドバイザーの仕事

・被害者の相談 今後の見立て(人間関係の洗い出し)

・暴力のレベルが桁外れ 暴力が許される文化

○基地があることと無関係ではない。県民の 1/4が戦争で亡くなり、        沖縄の土には人の脂が染みこんでいる。そのため沖縄の土では焼き物が        作れない。過酷な歴史。)

○子ども家族と家族の困難(子どもは家族と友にいるので子供の問題には家族の抱える問題、困難が色濃くからんでいる。)

②全国学習学力・状況調査の問題点

「早寝・早起き・朝ご飯」が子供の成績向上の条件であるかのような言説が「沖縄版親学」のようなものに結びついてきている。学力と生活の関係を「家庭がしっかりしていないから」と固定してしまいがち。安易な「自己責任論」「家族責任論」へ結びつきかねない危険性がある。

③女子中学生が集団レイプ後に自殺した事件(2010年)→背景にある暴力性 

○個別の事件は守秘義務があるために公にできない。こういった問題を明らかにするためには「調査」として子どもたちの生育環境や家族・コミュニティについて見ていく必要がある。

社会学者打越正行氏と相談や事件の被害者・加害者となったような若者層を対象にした調査設計。2012年から調査開始。

 

3.『裸足で逃げる』を執筆するきっかけとなったできごと

 ※当初は、調査を本の形で発表することは考えていなかった。

①元海兵隊員・軍属による20歳女性の殺人事件(2016年夏)

 沖縄の女性についての調査で性暴力を扱わないのでは本質的な問題には迫れない。

201512月 沖縄県の子どもの貧困率(29.8%)発表

 県をあげた貧困への取り組み。そのなかでの「そもそも学校が子どもを排除している」ことへの気づき、反省のなさや、SSW(スクールソーシャルワーカー)等の現場からの(子どもたちと接している人間からの)バッシングへの危惧、  心配。

 

※上間さんのお話の中ではしばしば「そもそも学校が(子どもを)排除している」という指摘がでてきて問題の見えにくさ子どもに近いところにいるはずの大人たちのあり方に、どう迫ればいいのか戸惑いも感じた。

 

4.『裸足で逃げる』が完成するまで

調査の方法など

○何回もインタビューをする。繰り返し会って話を聞く中で、徐々に本音や詳しいことを語ってくれるようになる。丁寧な寄り添いの過程で、それまで語ることのできなかった苦しみを語ることもあった。

トランスクリプト(相手に渡して一緒に読みながら、インタビューデータの確認)を丁寧におこなった。相手のとの信頼関係を大切にした。暴力の被害の程度がすさまじい。インタビューの後、泣きながら帰ったこともしばしばで、あまりにひどい内容では帰宅途中に吐いてしまうほど。

②話を聞かせてくれた彼女たちを第一の読者とする

  書いた内容は、本人の前で声に出して読み,間違いや違和感があればそのつど訂正。彼女たちが納得できるものに。「(匿名性が高く)自分のことが書かれている気がしない」といわれたものは全面的に書き直したものも。

苛烈な苦しみ、耐え難いつらさは言葉として語ることができない。苦しすぎてその苦しさを語れない「苦しみの深さ」がある。ナラティブを語ることで自分の人生をたどり直し、安定につながるもある。

 

 

③調査対象者の特徴

10代から風俗に入る人がほとんど

 結婚、子ども、離婚→子育てのために風俗に戻る

 元夫からの養育費なし  ほとんど皆DV被害者

沖縄風俗界の特徴

○情報管理

  安心して働ける条件

 モニターに客が映る。出身中学や何期生かなどを女性がチェックして、OKなら。

   (男性客がインターネットで女性の素性を暴くことが頻発 地元の客との距離感に敏感)

 女性待機室の個室化など女性のプライバシーが漏れにくい工夫

  オーナーと女性の関係

  両者の距離が近い。

  女性としては生育歴への理解・子育て情報など働きやすさを重視

  店としても従業員として安定的に働いてもらいたい。

両者が性的な関係にあることも(双方にメリット)

⑤調査対象(当事者)と学校との関係

Aさん:中学時代に反抗的な女子グループ結成、中卒で社会へ出る。

学校につながったまま卒業まで至り、その後も、グループのつながりを維持しながら生活。

学校の機能:学校の先生がもとSSWでとてもよく話を聞いてくれた。

Bさん:中学時代に反抗的な女子グループを結成、高校進学。出産を経て定時制高校へ。現在看護師として勤務。

学校の機能:定時制高校の先生がキャバクラ店へ様子を見にきてくれたり、学習の面倒を見てくれたりした。人が自分の望み(Bさんの場合「看護師になりたい」)を口にする(できる)には、それができる場(支えてくれる人間関係)と自分もまんざらではないという自己肯定感が必要。

Cさん:いとこたちとつるみながらの成長,女子の友達のいない環境。

出産、高校中退、結婚→離婚(親権は男性方へ)

学校の機能:女性との互恵的な関係を作るのが苦手。居場所は男性中心のコミュティ。学校はネットワークの形成には効果なし。中退した定時制高校に元夫は残って卒業までこぎつけている。妊娠を機に彼女は中退。学校に残っていたらまた違った人生があったかもしれない。

 

15年以上前に「高校生にも産休があればいいんだよ」と言った女子高校生の言葉を思い出す。なぜ女子だけが当たり前のように退学になるのか?

 

5.学校の効用の再検討

①沖縄の貧困と学校

○学校が押し出している子ども その事実から

○リスク層のネットワークの形成(たとえば女子の場合、初体験で避妊したかを聴くとネットワークのありなしが分かる。間違った知識でもネットワークの中にいることで情報が入り、回避できるリスクもある。)

○暴力を「受ける・見る」ことの虚しさ、寂しさを語ることができるか(学校にいる間に)

○自分について語り直せる場としての学校

 

以上、講演のまとめ。※は記録者雑感

 

【3】講演に対する質疑

Q1:子どもの話が聞けていない。子どもが話したがらない関係。

   大人たちのプラットフォーム化について

Q2:JKビジネス 地元との関係 見える化がないと実践しにくい

 

A1:

・その子なりに一生懸命していることを承認して欲しい。

・食べないでやってきて、今ここにいるのに顔を見れば「食べろ」と規範的な要求

・調査で聞くのは「仕事」のこと 「仕事」には大変なスキルが必要

  →インタビューは自分のがんばりが拡張されるうれしさがある

 

Q3:学校では「ワルグループ」といわれるネットワークで生き延びている。

  このグループを学校の文化にどう落とし込むか

 

A2:グループを解体・排除しないことの理解の難しさ

 生徒と深く関わっている教員はこのことがわかる

 グループのまま卒業させられる方が、リスクがまだ少ない

 

【4】シンポジウム『裸足で逃げる』を学校につなげるために

1.登壇者

・荒巻りかさん(スクールソーシャルワーカー)

・遠藤裕子さん(都内私立高校専任カウンセラー・学校心理士・全進研世話人)

・上間陽子さん(講演者)

・綿貫公平さん(全進研世話人)

 

2.報告① 荒巻りかさん SSWの立場から

「学校はダメだから」はやめよう

疲弊する学校

SSWこそワーキングプア? 非常勤職員という不安定な立場が多い。

 

○生活者としての苦しみ。がんばる→結果出ない→ケアしている対象への憎悪となることも。

少しずつ距離をつめる。子どもを通して母親と関わりケアしていく

DVに対して「逃げろ」としか言わない役所

疲れ傷ついている母親へ あなた(母親)自信を尊重

○ある母親はケアされた体験をこう語る

「ボウルの中に水があってぐちゃぐちゃしているのを、一緒に見ながらおたまですくって、これはこっち、これはこっちとわかりやすく見えてくる」

ケース会議

・親の悪口は言わない

・それぞれの参加者が新しい気づきを持ち帰る

・「その人」をどうケアするかという立場

相談に来た親子は全て好きになる

○怒り、悲しみをかかえ傷ついた人と関わっていく長期的な仕事だが、役所の人事異動がネックになることもある。

 

3.報告② 遠藤裕子さん SCの立場から

①勤務校のこと

・「人間の尊厳を大切にする」が教育目標。教員は「人間の尊厳を大切にする人に育てる教育」をする。生徒には「人間の尊厳を大切にする人に育ってほしい」

・職場としては、恵まれた勤務(専任)

②「裸足で逃げる」を学校につなぐために

―「裸足で逃げる」を読んで、心にかかった文章をひろいながら

音楽教員をしていた時のこと

・テストの末尾の感想をびっしり書く生徒(自分のことを語る)

・優れた実践は聴くことにある(語ることよりも)

・すっかり聞き取った後のメッセージなら相手に入る

○ケース

・夏なのに長袖の女子(父親の暴力からリストカット 傷を隠していた)

・児相の保護まで3ヶ月かけた。「本人のタイミング」を大切にすることが大事。

教員は子どもと一緒にいなくてはならない。日常的に子どもの傍らにいられるようにしておかないと、子どもは口を開いてくれない

③3年間で終わらない子どもの人生。教員は何を見すえる?

暴力をふるわざるをえない男性の問題

ケアする人間の分断を乗り越えよう(全ての人にケアは必要なのだという認識)

 

4.報告のまとめと補足(司会)

この20年の激変

・家庭訪問なくなる 地域と切れる

・個人情報保護法 生徒の背景が見えない

・成果主義 個別の評価 承認の棄損→ストレス 分断 に晒される教師

・職員会議は通達機関(主体性の剥奪)

・学力テスト 学校も教師も競争の中に放り込まれている

・そういう中で高校/大学も含め子どもをどう包摂、排除しないでいけるか

・教員が聴く身体を持ちにくくされている

 

5.講演者の発言 上間陽子さん

○東京で起きていることは沖縄でも起きている

・子どもを育てることに弱さ

・マッチョな校長たち

・学力テストの結果が上昇している小学校では女性の教員が笑わない(笑顔がない)

・学校が子どもを排除

 ・特別支援学級へ投げ込まれる→「アホの烙印」

 ・居心地悪い(居場所がない)

思春期の課題・ギャングエイジなどを通ってこない

 →子ども同士の互恵性を形成していない

学校では感情のコントロールの重要性が強制されている

 表出が認められていない。怒り・悲しみ・など 悪いものとして抑圧

  身体性(快・不快)もほとんど顧みられていない。

 

6.交流

①参加者から

○教師自身が子どもの貧困にどう向き合うか

・給食費未納←なんで払わないの?と厳しい眼差し

・家庭自己責任論に陥る教員

・呑む金があるのに給食費払わない?何考えているんだ!となりがちだが…

教員と生徒・家庭との溝をどう埋めるか

○貧困への闘い(学校で)をどう展開していくのか

②発言1(荒巻)

・地域の組織での支援、取り組み(現在では18歳まで)をどう広げていくか

・政治・政策が変わろうと地域はどうあっても続けるべき

・教員からどうして声が上がらず動きが出ない? どうしたらいいのか

③発言2(遠藤)

・恵まれている私の職場でも日々どうなのと思うことがある。

・その人が生きていること、私がこういう人であるということを認め合うこと。

④発言3(司会)

「外」に出ることの大切さ。自分を相対化し、学校を相対化する視点。

⑤発言4(上間)

職場の中にも同じ違和感を持っている同僚もいるはずなので、おかしなことには「えっ?まじっ????」と表出しよう。それを見ている同僚もいる。

・子どもの中から疑問が出される。面白い学びを作ってく中で子どもと教師が突破口を作る。

 

 

全国進路指導研究会 2017夏のセミナーまとめ

2.グループでの意見交流

 

グループでの意見交流 Aグループ    (記録:古野 / 文責:遠藤)

1.簡単に自己紹介 所属や関心事など

司会:遠藤(全進研世話人)私立高校専任カウンセラー

記録:古野(教員志望の大学生)

A:心理系大学院生。社会心理学を学んでいる。「教員」についての研究に関心

がある。他、セクシャルマイノリティ、排斥など。

B:区立中学校教員退職後、非常勤講師3年目。区の労働組合で活動。貧困をな   くすこと、最低賃金制などに関心。

C:長年、子ども家庭支援センターで仕事。その後、子どもや家庭を支援するNPO  

を立ち上げて活動している。親の精神疾患や虐待など。

D:会社員。父親。6年前に、居住地で「非行克服の親の会」を立ち上げた。

東京の「親の会の活動」は20年になる。

E:公立高校の教員を退職後、私立高校で非常勤講師。他にボランティアで若者 

の労働相談なども。背後にある労働状況に関心。

 

2.意見交流

司会:短い時間なので、特にテーマというのではなく、参加の感想でも、質問

でも、ご自身の活動との関連でも自由にお話いただきたい。

 

D:親の会なので、活動は親の課題が中心になるが、子どもにも関わって活動を  

せざるを得なくなる。地域でたむろしている「不良たちを見る」という活動を始めた。コンビニの前などにいる中学生などに「学校に行っているか」と聞くと「入れてくれない」と言う。学校全体でなくてもいいから、教師が少人数でも彼らに居場所を与えなければいけないと考える。警察の指導が強まっているためか、この頃、表に出てくる人数が少ないから不安。彼らはどこにいってしまったのか。

 

司会:「学校に入れる」というと授業(教室)を意味するのかもしれない。

別室で話を聞くなどはできないのか。

 

D:自分もヤンキーは苦手だったが、話してみると、彼らも傷ついてこうなって

しまったのではと思うところがある。

 

司会:苦手と拒絶は違う。フィルターをかけないことが大切だと思う。

 

E:6年(親の会の活動)経って、結果としてあらわれていることがあるのか。

 

D:結果を求めて活動しているわけではない。非行少年の親は社会から非難され

るし、周りに話せない。まずは「安心して話せる場」でありたいと考えている。

 

司会:他の方は。

 

C:小学校高学年での不登校・非行などを遡ってみてみると、小学校の入学時点 

で貧困をつきつけられている場合が多い。そういう子どもたちの多くは1年生の夏に自己肯定感が失われたり、教員からレッテルを貼られたりすることで学校に行けなくなったりすることもある。教員は忙しいのはわかるが、「1年の夏までが勝負」ということを知ってほしい。親にものを整理する習慣がなければ子どももない。教員から忘れ物を指摘され、隣の子どもの物を使うと教員に怒られたり、そこからいじめが始まったりする。「音読宿題」なども親がやったことがないからそもそもできない。行政がやる学習支援は小学校4年生からが多い。それでは遅すぎる。活動している地域では、低学年からの学習支援を進めている。小学校1年から大事にしてあげてほしい。

性に関する興味関心を持ち始める年代が、高校生から中学生に移行してきている。現代は情報の多様化に伴って、不正確な情報が蔓延している。(コミック・アニメ・動画視聴サイトなど)14~18歳の非行じゃない子が1番多い。イヤといえない女子特有の文化も先生は知ってほしい。

 

司会:「忘れ物」とか「人の物を使っている」とかのレベルでの丁寧な声かけ 

が大事。

 

C:先生には余裕がない。だから「邪魔する子」を排除しようとする論理が働く。

 

B:教室から出て行ってしまう子がいると、担任が1人で授業ができない。行政 

にお願いして「人を配置」ということになる。「担任が怖い先生だったら言うことを聞く」という感覚の先生もいる。子どもたちが安心して担任とコミュニケーションをとれる環境が大切。中学校では入学段階から「荒れている」と情報が事前に入ると準備態勢を整える。教員による体罰を含めた威嚇のおかげで成り立っているという感覚の生徒や親もいるし、学校全体でそういう空気感がある。荒れた学年の時には特に、担任以外の余力のある人の存在が必要不可欠。余裕があれば授業研究もできる。教科教育に関心を持ってもらう事も大事。特別支援学級では、教科外の先生が担当することも少なくないが、形だけの授業をこなすのでなく教科の専門性を保つべき。もう一人先生が欲しいといつも感じる。

 

司会:勤務校では、相談室からインターン実習の学生をLAとして教室に派遣し 

ているが、教員から「助かる」の声が多い。

 

E:日本では教育の問題があれば、すぐ教員バッシング。問題の根源は資金が足りない事。日本の教育費はOECD平均の4分の3。世論がそっちに働かず、分断される。子どもは教員だけで教えられない。地域・親も学校づくりに参画するべき。(静岡の例を挙げながら)部活の教員の残業時間を減らすために夏休みを減らすなども理解できない。まともな議論に進んでいかないことに憤りがある。

 

A:リストカットをしてから風俗で働くまで、ズブズブに堕ちていく知り合いが 

いた。高校中退後の進路を決める時の学校見学などに付き合った。高校の先生にも相談したが「単位が取れなければ辞めるしかない」と言うだけだった。先生方がフォローしたり、専門家同士とつながれたりする環境づくりが必要なのではと思う。教員は「自分達だって大変。40人クラスを持っている大変さがわからないのか」一方でスクールカウンセラーは「子どもの支援が仕事だから」のように、大人同士が対立していては解決に進まないと思う。

 

司会:勤務校でインターンを終えた人が、SCとして公立中学で働いているが、週1回で5時間、ケースは多いのに時間がないため、さばききれない。「子

どもだけみている」とかはありえない。学校教育相談はそんなに単純じゃな

い。

 

C:常勤であることはとても大切だと思う。行政や学校から依頼が来ることもしょっちゅうあるが、どれも週3日程度で常勤ではない。それで子どもと深く関われない。

 

E:教員も排除したいわけじゃない。手が回らないのが現実。行政や学校はSC

などを非常勤で雇って、カモフラージュさせているところがある。SCが週1回来るが、予約票がいっぱいで手が回っていない。最近は大学生が来て、生徒の相談にのったりしてくれているが、学校の教員には話さないが学生には話すというようなこともある。

 

司会:余裕をもった人の配置など、手が回るように具体的な対策を進めていくことが大事だということだと思う。

 

 

グループでの意見交流 Bグループ 

グループ交流~講演とシンポジウムを受けて~     (記録:坂下 /文責:佐藤)

司会:佐藤(全進研世話人) 記録:坂下

司会:自己紹介を含め、講演とシンポジウムを受けての感想などお話しください。

S:あらためて子どもに寄り添うことの大切さを実感した。・中学校教員だが、職員室は親子ほど離れた2世代の構成になっていて、下の世代に伝えていくことが必要だと思う。

 

O(雑誌編集者):上間さんの話や本を受けて、教育現場は、本音を表明する環境で人間関係がはぐくまれるべき場所であるのになぜそうならないのかについて考えたい。

 

I(再任用の図工中学教師):学校の中で比較されてしまう現状を問題視。・様々な人と話す中で、例えば先生と生徒が呼び名で呼び合えないような学校の文化について意見。・女子生徒の作るグループが大事であるという考えに納得、教師がただ解散させたりするだけではなく、他にできることがあることを再認識した。

 

K(教職志望 大学四年):どのような子どもも、どのような集団も否定せずに尊重する。

・見えないものを見ようとする姿勢と生徒に寄り添うことが大事だと思う。

・教育実習で高校三年生を担当した時に濃く話した生徒が提出物を出せない子であった。なぜ出せないか理由を聞いてみると、何故かは本人もよくわかっておらず、どう改善していけば良いのかわかっていないと生徒が答える。先生の改善の仕方を示さないところにも問題あり?

 

KNPOみんなのうち):外国にルーツを持つ子どもに向け教室を提供。・そのような子どもと上間さんの話の子どもには共通の問題があると考え、子どもの話を聞くことの重要性を再認識した。・しかし、本人は団塊世代であり教師に信用がなく、子どもも学校や先生のせいで辛い思いをしたこともあり、教員のそういったところは今に始まったことじゃないのではないか?・生徒が学校の中で心を開けないこともあり、だからこそ学校の外で活動。・上間さんの話はたまたま沖縄で見えただけで、東京でも問題に入り込む人がいれば見えてくるのではないか。東京も沖縄と変わらないのではないか。・JKの貧困とJKビジネスの酷さ、風俗産業の酷さは日本全土の問題であると思う。

 

Y(高校教師):上間さんが高校生と生活したいということで、以前に私の教える高校のクラスで上間さんが高校生と共に生活していたことがあった。・最近、生徒から飲みの場に誘われた。誘ってきた生徒が当時一番荒れていたグループに所属していた。特別かわいがった覚えはないのだが…しかし嬉しい。・先生も職場で孤立している、自己責任という風潮があり息苦しい、助けてと言えない。だからSOSを出せる環境が必要、組合が必要であると考える。よって先生を助けるには組合の運営が欠かせないと思う。・授業が成り立たない。騒いでうるさいからだけでなく、静かでも話を聞かず他の事をしていてで成り立たない。だから授業が成り立たないというのは、進学校でもそうでない学校でも同じで、生徒が先生の顔色を窺いながら授業を受けることも多い。・勉強しない子に勉強させようとし、結果が出せないと学習障害と結論付けて終わってしまうが、その背景を確認すると貧困や暴力にぶち当たる思う。

 

Y(大学院生):教職課程の授業を教えている。・昔に教員が嫌いになったことが、教員との付き合い方を考えるきっかけとなり、教師やその他の関係について研究している。

 

T(都立高校の教員 マッチョの体育教師 三年の担任)

・都立高校入試の面接の試験官をやった時、曖昧なテーマで集団討論を行うと、中学生は大人の顔を窺いながら発言しているように感じ、本音なのか?と思った。・高校の制度やその他が今の中学生を苦しめているのではないか?・進路活動をしていて、もやもやすることも多い。・工業高校であるため、毎週のように出るレポート課題を提出していない子に催促しなければならないが、対応が難しい。・授業で生徒が教師の顔を窺うことに納得。授業が成り立つか立たないかは、教師によって変わると思い、また成り立たない教師は、授業でもなにかと決めつける人が多い。・教員の男女について、男性教員と女性教員で生徒への関わり方が違っていいと思う。それぞれが役割を持ち、連携してこそチーム学校であると思う。・生徒の家庭状況が見えない。

 

N(江東区の高校教員):現代に上間さんの話のような生活をしている子どもがいることに驚き。・様々な教育(仕事)に対する対応の中で、教員の終業時間が遅すぎるということで八時に職員室を閉めるようにした。・進学に当たり奨学金を必要な子どもが多いなかで、安易に奨学金を進めて子どもに借金させていいのか?・低賃金、長時間の教師には職場の一人一人まで話をしっかり聞く必要があると思う。・上間さんの話が本当に衝撃的で不勉強を自覚した。

 

M(十年前に定年退職):教職離れてからも学校が気になる。・一番の日頃の関心は教員の多忙さで、さらに教員自身も日本の教育についても心配。・上間さんより沖縄の子どもの実態を聞いて沖縄の大人、教師が子どもに一人一人に関わるのは大変だと思う。・先生たちが皆でこうした実態を学ばないと対策が見えてこないと思う。・なぜ沖縄でこうなるのか勉強したい。

 

他にも以下の話題について意見交換が行われた。