全進研 冬のセミナー2019 記録・まとめ

(文責)遠藤

テーマ:

新大学入学共通テストをめぐって

―英語の4技能評価・外部検定試験の導入をどう考えるか

特に、そのことで、小学校〜中学校〜高校〜大学の教育は、どう変えられようとしているのか?

 

開会(司会:中村)

 冬のセミナーの大きなテーマは英語の問題。特に、大学共通テストをめぐって4技能や外部テスト導入。なぜ、今回、全進研で大きなテーマにしたか。全進研では、子ども・青年の進路を支えて、「しかるべき、きちんとしたチカラをつけて社会に送り出す」ということを大切に考えてきたが、今、実学主義的に「グローバル社会に役立つ」とか、経団連など経済界の強力な要請を背景に教育が動かされている状況です。それは、単に英語だけの問題ではない。例えば国語では、日本文芸家協会から実学重視によって小説や近代文学が軽視されることを憂慮する声明が発表されたように、国語科の変容に危機感をもつ声は確実に専門家や教育現場から上がっています。このように今回の学習指導要領改訂を機にさまざまなところで、さまざまなことが一気に変えられようとしている。人格の核心に迫るような「資質・能力」を問い、評価し、高1から(否、中1から)記録させる動きもある(e-ポートフォーリオ)。そんな流れの中、今日は特にこの英語の問題を切り口に考えていきたい。まず、英語の教科化によって問題が露呈している小学校現場の声を聞きたい。

 

 

【1】小学校の現場から(増田陽さん)

小学校の英語の話を15分位させていただく。英語導入の経過は瀧口先生の記事(人間と教育 100 2018年冬)で。「わたしの感覚」でお話をさせていただく。現在F市の小学校。私がN区で初任者だった20年前ころ、総合が導入された。総合の国際理解教育の中に外国語が入り込んできたが英語に限ってはいなかった。調べ学習や体験学習をしていたが、3年たって異動後、「英語がおりてくるらしい」と言われ始め、実際に入ってくることになった。

2007年、H市にいるとき、ALTが入っての初めて英語を行った。英会話学校の講師でフィリピン人の方が来ていた。簡単なゲームや歌をやっていた。授業は原則「担任がやるもの」だったが、ALT任せだった。教科ではなく、総合や特別活動で行っていたものが、その後、総合が減って「教科英語」が入ってきた。「ゲストティーチャーでもなく、ALTでもなく、担任がやる」となっているが、相変わらずALTに頼っている。しかし、中学年で週1時間、高学年は2時間。予算的にALTは全部の時間に入るわけにはいかず、高学年でいえば、2時間中1時間がALTという実態。「担任は何をやっているか?」といえば、教科書が入ってきていて、高学年は「中学年のものはマスターしている」を前提にしているので、ALTの授業のために、事前に単語を押さえておいたり、スペルを確認したり、予行演習をやっておかなくてはならなかったりしている。それでも子どもは「わからない」という。

異動を機に辞めてしまおうかと言っている人もいる。今後、英語の内容はもっと難しくなるだろう。用いる対話の形式も高度になってきている。また、子どもたちがモチベーションを高くもっていないと取り組めない。英語専門でやってきた人が「英語推進委員になって、英語専科にしてほしい」とケースもあるが、制度的に難しい。担任にとっては、「教科書をクリア」というのがあり、時間内に終わらせることを意識するのでは楽しくはならない。子どもは英語習得に前向きか?といえば。そうでもない。「小学校で、英語嫌いをつくらないで」と中学から言われる。英語がイヤな子はイヤというのが実態。

担任はといえば、英語の授業のテンションを保つのが苦痛でもある。子どもたちは乗ってくれはするが、「先生に合わせているんだよ。そんなに楽しいものじゃない」と言ったりする。ゲームは楽しいが、「別に英語でやらなくても」という子どもの声もある。子どものモチベーションを保って、教科書を進めていくのはなかなか苦痛である。「英語は楽しいんだよ。中学に行ったらもっと楽しいんだよ」って言いにくい実態がある。総合の時にやっていたような「地域の外国の人とふれ合う」というところには帰れないだろう。推進特区の荒川区はどうなのか?といえば、疑問に思うところがたくさんある。特別な教科、例えば道徳のようにABCでつけられない実態があり、モチベーションが上がらない子の評価をどうするか、悩むところである。

 

司会

質問は後ほど、交流の中で行いたい。

(ここで、会として用意した資料の説明が若干行われた)

資料のP1外国語といいながら「英語」という実態。グローバル社会に役立つ人材の育成が露骨にでている。中学で「ABCからスタート」はもうできない。

新聞の資料、この4技能をどうとらえるか。東大、京大、東北大では使わないと表明。教育産業であるB社は、ネット上で「…こうなっていく。乗り遅れないで」と親向けにアピール。「AI時代との関連で65%は今存在していない職業に就く」ということがいたるところで使われる。B社は教育委員会で講演もしている。これからの社会に必要なチカラとは何かであって、「何を学ぶか」ではない。「学んで何ができるか」、社会の要請にそってチカラをつけるようにと言う。こうした流れの中で「中高一貫」が特に首都圏で広がっている。公教育が私費化されている実態がある。

 

講師紹介(佐藤)

瀧口さんとは学生時代からのつながり。セツルメントの活動をしていて、強烈に覚えていることがある。高校時代の勉強法で、自分なりの学習法を編み出していた。埼玉の県立高校の教員を経て、白梅で実践と同時に研究をされている。新英語研究会の副会長でもある。

 

【2】報告

瀧口 優さん(白梅学園短期大学教授)

 

はじめに―簡単な自己紹介など

 

中2で英語、落ちこぼれた。とんでもない体罰教師にあたり、その反発から教師を目指した。「そのためには大学に行かなくては」と大学進学を目指す。フォークソングが流行っていて、ギターをやったりした。地理と数学が好きだったが、その当時の東京教育大に英語で受かったので、英語。大学時代はセツルメントを熱心にやっていた。1974年埼玉県に採用され25年、白梅で20年、トータルで45年になる。「小学校の英語の反対」を言っていたら、小学校の英語教育問題にかかわることになった。

推進特区の荒川区であるが、実施後のアンケートをとってこなかった。10年経ってとったが結果は公表されていない。小学校の英語は専科でないと無理だと思う。英語は使っていないと忘れる。わたしも、1年1回は海外に行き、1週間でも滞在して、英語だけで生活をするようにしているが、そうしないと忘れる。外国語をやるなら、いろんな言語をやるべきで、英語だけだと、英語といえばアメリカ人、多文化を学ぶという考えでなくなる。

 

当時配布のレジュメにそっての報告

 

1.新大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)導入の経緯

(1)「教育改革・入試改革全体の動きの中で、英語教育・英語入試改革がどう動いてきたか」について解説。

※資料別添 「迷走する英語入試」(南風原朝和編 2018)を基本に瀧口作成

 

(2)外部テストの種類と問題点

 ①ケンブリッジ英語検定:100年以上の歴史を持ち、イギリスやオーストラリアをはじめとして広く4技能のテストを行うもの。(非営利組織ケンブリッジ大学英語検定機構

TOEFLiBTテスト:Test of English as a Foreign Language internet-based Test, アメリカに拠点を置く非営利テスト開発機関 Educational Testing ServiceETS)が開発した英語試験で、北米の大学への留学を志す人を主な対象としている。(一般社団法人 CIEE国際教育交換協議会

ILETS:(アイエルツ)は、International English Language Testing Systemの略称で、海外留学や海外移住、外国企業就職の際に英語力を証明する英語運用能力評価試験。日本国内では、公益財団法人日本英語検定協会とブリティッシュ・カウンシル20104月より共同で運営を行っている。

TOEIC(トーイック)は、一般財団法人国際コミュニケーション協会が実施するTest of English as International Communicationの略。

GTEC:(ジーテック)Global Test of English Communicationベネッセが開発した4技能評価テスト。

TEAP:(ティープ)Test of English for Academic Purpose, 上智大学と日本英語検定協会が共同開発した大学入試向けの英語運用能力測定試験である。

 ⑦TEAP CBT上智大学と日本英語検定協会が(株)教育測定研究所の協力を得て、「グローバル X IT社会を牽引する思考力・判断力・表現力をリアルに測定する4技能を超えたテスト」として開発

⑧実用技能検定(英検)公益法人日本英語検定協会1960年代からすすめてきた、日本で最も受験生の多い英語検定試験。

 

※問題点として、以下のことが挙げられる。

〇いずれも高額。

〇外部テストの結果は2回分出すことになっているが、お金があれば何回も受けられて、

その中のスコアのよいものを提出することができる。平等性が保てないだろう

 

2.「共通テスト」のねらいは何か

(1)OECD学力調査を視野に-「思考力・判断力・表現力」への対応

(2)財界の誤ったグローバル戦略への追随(審議会は形だけ)

(3)大学の差別化-PDCAサイクルへの転換

(4)教育を金儲けの道具に

 

PDCAは物を売る論理であって、人を育てることにはなじまない。

 

3.外国語をめぐって

(1)英語ONLYの強化

(2)差別選別の徹底(小学校から大学まで)

 ※落ちこぼしが多くなる。「一部ができればよい」という発想

 

4.高校や中学校、小学校への影響

(1)生き残りをかけた小学校、中学校、高校間格差

(2)英語教育中心の学校づくり-カリキュラム、課外

 

※小学校、中学校は語彙が増える 高校は受験対策に特化する。

W小学校(私学)は、英語はやっていない。ただし、以前から取り組んでいる「沖縄への卒業旅行の感想を英語で書く」というような実践を行っている。これまでの実践の中に組み込んでいくという考え方もあるだろう。

 

5.日本の外国語教育はどうなるのか

(1)小学校からの振り分け

   ・耳からの短時間の英語は消えていく(しかも担任の英語)

40人のコミュニケーション?

   ・学校外での競争(塾・留学)

(2)中学校での「振るい落し」

   ・900語→1200語→16001800

   ・英語で英語の授業(英語嫌いと英語だけでできる授業は内容理解やレベルに限界)

(3)高校のスーパースクールとその周辺300

(4)リーディング大学とその周辺30校(英語で授業)

・留学生30万人

(5)しかし…

   ①全ての子どもが学ぶ意欲と理解・表現する力を持っている。

   ②外国語教育の目的は、世界と連帯しながら平和や人権、環境保護などを視野に、人間のつながりと持続可能な社会の発展を目指し、母語を豊かにしていくものである。

   ③自己表現と社会的な評価を通じて、生きる意欲を高めていく。

 

 ※ほんとうに厳しい状況にあることは事実だが、レジュメの5.の(5)にあるように、

  「本来の目的」を見失わないように、実践を創っていくことが大事だろう。

 

6.終わりに

(1)翻訳ソフト及び音声翻訳器への対応

(2)英語だけで世界のリーダーになれるか-多言語・多文化の視点

(3)差別化をさせない英語の授業とは

(4)外国語教育の四目的に立ち返って

 ①外国語の学習を通して、世界平和、民族共生、民主主義、人権擁護、環境保護のために、世界の人々との理解、交流、連帯を進める。

 ②労働と生活を基礎として、外国語の学習で養うことができる思考や感性を育てる。

 ③外国語と日本語とを比較して、日本語への認識を深める。

 ④以上をふまえながら、外国語を使う能力の基礎を養う。

 

 ※時間の制約がある中、6.にふれる時間が十分とれなかった。

  交流の中で補足。

 

【3】交流

進行(綿貫):

ここからは、フロアから意見をいただきなかが、交流をしていきたい。

いくつかの大学で働いているが、「来年度のシラバスを英語で」というのが下りてきた。ある大学は組合が闘って「外注」することに。文科省が英語で授業とか、シラバスを英語でとか言う。戦後、教職課程は開放型でやってきたが、狭まれてきている。

 

まずは質疑から

A教員の資格試験、採用試験に影響するか。特に、小学校は?

 

B6年生で入ってくる「何学習」?(聞き逃しているかもしれないが)

  英語以外で受験させている大学は? なくなっていく傾向なのか。

 

増田:

3年生でローマ字を習う。ローマ字は書ける。「英語で書く」はないはずだが、6年生では

英単語を覚えての文字、表記が入る。6年生では書くようになると、またそれがストレス

になるだろう。

 

瀧口:

5年生で大文字、6年生で小文字となっていくようだ。

教員の採用試験だが、とっくに採用に反映している。準1級以上は有利。東京で「2級以上」としようとしたが、ストップした。

「英語以外の外国語」だが、センター試験が入る前は結構やっていたが、それ以降は、少なくなってきた。センター試験はドイツ語などもあるが、ヒアリングは英語だから、英語をやらざるを得ない。英語以外はやりにくくなる。

 

C(都内大学・学生):

オーストリアのウィーンでドイツ語。CEFRでクラス分け。日本の英語教育は合っていないと思うが…経済界のもくろみとあっていないのでは?

 

瀧口:

そう、合っていない。これで英語力がつくとは思えない。高校の英語教育は大変になる。共通テスト対策に追われる。財界のトップが愚かだと思う。どこもストップがかけられない。CEFRがあるのは、基準がないと「違うテスト間」の比較ができないから。無理やり利用していると思う。

小・中・高校で4500語。そのテンポに追いつけないとこぼれる。

言語の獲得は、1歳で20語、1.5歳で50語、5歳で2000語、母語で考えるとたいしたことはないが。途中から積み上げる外国語の習得は大変である。

 

D (中学の教員)

K学園のことだが、「東大には行けない、外国の大学に行く」これはシステム的になのか。私立W小の卒業旅行(沖縄)を英語でまとめるのはどうやっているのか。

 

瀧口:

すべての教科を英語で授業するのだから、内容のレベルを、母語より落とさなくてはならない。点数は取れない、だから東大には行けない。(質問:ハーバードレベルとかいっているのか)かなりのレベルまで行ける可能性がある。

W小は、もともとテーマ別学習に取り組んでいて、もともとの実践に英語を持ち込んでいる。今年、初めてモデルとしてやり始めた。

 

進行:

若者支援にかかわっているが、そこにいる若者で、ハングルできる人がいる。英語できるかというとできない。W小は、今まで大事にしている取り組みを英語にしていくというものだろう。まずは「母語をきちんと」だと思う。

 

E:

カナダで「英語ができる生徒に何を教えるか」という問いに「アカデミックな英語を教える」という答え。「どういう英語か」が大事。スラングや挨拶ばかりではどうなのか、疑問。

小学校でやる英語は無駄になるのか。「音を聞く」は小学生のほうが聞けると思う。小学校でやるんだったら、「耳を慣らす」というのがあるのではないか。「なまったインド人」では困る。

 

瀧口:

音声的に、確かに小さい頃のほうが聞き取れるのは事実。生まれてから10ヶ月はロシアにいればロシア語など。子どのも発達で、20歳くらいまでは、聞き取りのチカラが伸びる。ただ、英語の映画とか歌とか、ちゃんと選んで教えなくては意味がない。

 

F(武蔵野教育を語る会のメンバー)

東京都の教育委員会に心配な動きある。国際バカロレアの名のもと、「国際高校・第2」を作ろうとしていたり、英語村を作ろうとしたり。公立の中学で英語嫌い増えている。英検はお金がかかる。漢検も。受けられたり、受けられなかったり、教育がお金のかかることになっている。早期教育で、日本語がおぼつかないときから、英語を聞かせるのはアイデンティティの混乱をきたすのではないか。子どもの成長・発達にとってよくないと思う。

 

瀧口:

教育産業Bは、全国に広がり、教育を金儲けの道具にしている。財界も終わりか。日本人がきちんと育て、会社を担っていかなくてはならないのに、どうなっているのか。早期教育、早くからやっても・・・・と思うが、実際は広がっている。1歳半の子が、日本語おぼつかないのに、英語の塾に行っている。言語の獲得の段階なのに、例えば、りんご、アップル、APPLE。子どもは遊びが楽しく、「英語塾」にいっていたが、その後止めたと。ずっと、ちゃんとした発音の人がついてやっていれば、まあわからなくはないが…10歳でメタ言語能力が育ち、区別ができるようになる。英語村だが、韓国は10個くらいあるが、英語漬けでおかしくなった子もいるとのこと。

バカロレアを採用しているのは、競争主義の国なのか。特に東京、大阪はお金があるから、新しいことをやらなくてはというように相当な無理がある。

 

増田: 

IB(国際バカロレア)は、知り合いが導入を私立小学校でやっているみたいだが、うまくいっていないようだ。発達の壁の話で、早く英語に通い、混乱した子どもがいる。学習漬けの子も同じ。「奇行」が目立つ。止めた途端治まる。男の子の発達は遅いので、幅をもって子どもをみないとおかしなことになるが。声をあげられない状態がある。英語は親の期待が大きいから、否定できないまま、ここまできた。学校嫌いを助長することになるのではないか。

 

進行:

子どもの数が減っているのに、不登校が増えている。昨年の冬のセミナーで、足立区の例が報告された。学校内で塾をやる。子どもたちの中に階層ができる。

中学生の英語嫌いは増えているか?

 

G

うちはテストがないので、劇をやったりして、「英語嫌い」をまっさらにしようと取り組むが、それでも逃走する生徒がいる。英語は全てTT、協同的な学びで行っているが、実感的には格差が広がっているという感じ。 

 

H:

「勉強嫌いが増えている」というほうが当てはまる。強く感じている。「やり取りをする」というのが入っているが、コミュニケーションとるのが苦手、うまくいっていない。

 

I

T市、東京本部がある(受験産業B) 「東京一英語が喋れる市に」といっている市長がいたが、英語どころじゃない子がいっぱいいるのに…親の期待は高い。Bが入り込んでいるのではないか。○○スピーキングなどやっていると、目新しく楽しむが、疑問。

 

増田:

教科書ってどういう経緯で作っているのかと疑問。英語が始まった頃は、英会話教室が入り込んできていたが、発達を考えた教科内容、教育として、この学習内容でいいのかという疑問が残る。

 

瀧口:

教科になると教科書の検定がある。中学校の教科書を作っている会社が、小学校のも作るようになるだろう。20204月からは、新しい検定教科書。今は、We can(5,6年生)、  Hi  friend (6年)、文科省が作成している。ある程度、今のテキストにしばられるだろう。

 

進行:いったい、どうすればよいのでしょうね。

 

瀧口:

トップ10%をどうつくるかの政策だろう。だからこそ、90%の子どもと親を味方につけることが必要だろう。

 

進行:高学年を持ちたがらないとかないのか

 

増田:もともと、高学年は持ちたがらない。校長が、囲い込んでいる人たちに依頼することもある。

 

J(塾業界に勤務)

小、中、高校の子たちが通ってくる。勉強嫌い、多い。なんとかしなくてはというのが、今の役割か。自分の子は7ヶ月。小学校に入っていくのが大変だなと思った。学校の先生、財界、テクノロジーの発展への展望をもっている人はいないのか。今掲げた4技能、2年後くらいからだろう、eラーニングの発展によっての影響は?

 

瀧口:

もちろん、財界でも「社会のためになることを」という人はいる。ただ、自動車産業とか、外へでていかなくてはならないところの財界人にはまずいないのではないか。良心を掘り起こさないと、立ち行かなくなるだろう。テクノロジーの進歩の影響、本当にはわかってないのではと思う。ケンブリッジ、オックスフォード、ハーバードでは、「こんなやり方」では「ほんとうのエリート」は育たないと言う。ベトナムは環境が整っている、教材の疑問はあるが。なおさら日本のやり方がおかしいと考える。

 

進行:

スピーキングテストという話がでているが、どう入れる? 

 

瀧口:

やることを決めてから、辻褄を合わせるから、おかしなことになる。

うちの大学では実施は不可能だと思う。

 

K:(中学教員):

職員室のとなりの席が英語の先生。2クラスを3展開しているが、ALTとの打ち合わせ など空き時間がなく、本当に大変そう(報告だけ)。

 

L

意欲がなくなるという話があったが。中国からホームステイを受け入れている。高校1年生で日本がよく話せる。コナンで学んだという。意欲があると学ぼうとする。隣国(韓国、中国など)と交流することが大事。英語をムリムリにやっているのが情けない。先生同士の格差もあると思う。

 

進行:

お二人から、補足的な話をしていただいて、終わりにしたい。

 

増田:

英語は技能を求めているところが大きいが、教育学的に、その技能(文化)を身に付けさせることによって、何を獲得させたいかが大事。すなわち「子どもに差し出していい文化」は何なのか。小学校はプリミティブな反応が出てくる発達段階である。英語を嫌いとなった子どもはその後も傷つくことになる。

 

瀧口:

東京都の2クラス3展開はほんとうに大変。少人数クラスだけならまだしも、習熟度も入ってきていて、ほんとうに大変である。クラスを分割するから、自分のクラスの子を少ししか教えない場合、HRとの関係からもまた大変。違った問題を生む。「オリンピックに向けて」ということで、いろんなことを押し付けてくる。W小は、オリンピックにはいろんな国からくるから、いろんな国の言葉や文化を学ぼうとする。たくさんの言語を身につけること(挨拶だけでも)が大事だと思う。全進研と結びつけるなら、進路を考えるとき、  体験と結びつくことが大事だと思う。学生の一番の成長の場は、実習。「自分で考えて、自分で実践して、失敗もして学ぶ」そういう体験が必要。特に高校では難しい面があるが、取り入れていきたい。

以上

 

〈参加者感想まとめ〉

●新大学入学共通テストの状況がすさまじいことになっているのが、改めて分かりました。大学が差別・選別されていく、教育が金儲けの道具になるのがとても腹立たしい気がします。対抗軸をきちんと持っていくことが大事で、そのためにも子どもを真ん中に、いろいろな分野で手をつないでいければと思っています。(それにしても、大阪・東京は財界に取り込まれ、悪い教育の先頭にいっています。それがすごく心配です。)ありがとうございました。

●新共通テストについては、どんな設問をつくれるか見ものだという見物気分も一部あるが、英語については共通テストと外部テスト(検定)との整合性に深刻なトラブルがありそうだと思った。でも、小学校英語とうまくつながるものか、疑問が膨らみました。

●民間のテストが力を持ち、それに対応していかざるをえないとなると、公教育・学校教育の意味あいは、どう考えられているのだろうかと思います。

●私立高校教師(国語・進路部)です。校内では英語の検定、共通テストの準備がすすんでいる様子はあまりない。今日的情報を入手目的で参加しました。

●学校の先生の話を聞くたびに、教育の現場の混乱や一杯いっぱいの状態を感じます。一事例を取り上げる(テーマ設定をする)ことは、会の開催のために必須ではありつつ、もっと根本的な部分をどうしたら変えられるのか、大きなまとまりをつくるための行動を取れたら良いのに、と思います。お話の中で、「上位10%残して、残りを切り捨てる政策」とありましたが、情報氾濫、情報封鎖の中にいる保護者たちは、「上位10%へ我が子を」と思い、そのための行動を選択していくと思います。この話題での根本的な部分とは、いかに情報をオープン化するか、ということです。根本を揺さぶることができれば、少しでも変えられるのではないかと思います。

●ありがとうございました。じっくり集中して考える機会になりました。今年度の高校1年生の男の子がある日廊下でモソモソっとしていたので声をかけてみると、「どうしたらよいか分からなくて…」と応えてくれました。よく話を聞くと、英会話の授業中、内容が分からない&グループ学習で仲間と話せない、が重なりトイレを理由に教室から出てきたそうです。当の教室は、約15人ほどの生徒と英語教員とALTが狭い教室でてんやわんやでした。そんなエピソードを思い出してました。私の担当は国語です。毎回一人ひとりと対話できたら…の思いは、なかなか実現できないのが現状です。そんな現状の中、英語の能力がさらに求められるのは、とても難しいのではと感じています。

●大学入試改革で英語の民間試験が導入されるようになったが、その背景や導入の問題点を明確に理解することができた。また、小学校での英語教育が十分な人的配置(専門教員がほとんどいないなど)もないままに進められようとしていることに強い危惧を持ちました。

●小学校の大変さ、民間の検定試験導入の矛盾点や問題点など聞けば聞くほど???。今後どうなっていくのか不安が募る一方ですが、結局しわ寄せは子どもたちにいくことを考えると、胸が痛みます。現場でできることを皆で考えていかなければ、という思いを強くしました。

●近い将来は、かなりの職業が機会に代替されるというのは、人口が減っていく社会では良い方向に考えればいいのに、などと呑気なことを言っている場合ではないようです。英語のことは、1教科のこととは考えられず参加しました。発達の視点の全くない、国や東京都の教育政策で子どもたちはボロボロになっています。90%の保護者を味方にするという難しい課題に取り組んでいくこと、細々と続けます。

●小学校での英語授業導入の背景と実態につきくわしくお話しくださり感謝しております。

●新大学入学共通テストのこと、その問題点、今後どうなっていくのか、そしてその裏側の背景など勉強になりました。一部の力を持った経済界の人たちの声で、教育のかたちがゆがめられているのを感じ、憤りを感じました。ありがとうございました。